三砂堂漢方伝統医学研究室                    
漢方薬の勉強会−痔疾
ホーム
漢方薬のお話
・東洋医学の歴史
・日本漢方(古方派)
・中医学
・神農本草経薬医学

・中医学と日本漢方

・漢方の勉強会

胃腸病 咳・喘息
糖尿病 婦人科系
便秘 痔疾
花粉症 アレルギー性鼻炎
蓄膿 肝臓病
腎臓病

ビワ温熱療法
・枇杷葉の薬理作用
・枇杷温熱療法の効果

・枇杷葉の金寺院療法

・枇杷コンニャク温湿布

・枇杷葉温灸

・もぐさ式枇杷温灸器
・電気式枇杷温灸器
漢方薬、鍼灸治療、枇杷温熱療法等のお問い合せは下記まで
株式会社三砂堂漢方

・漢方薬部門
鍼灸部門












●中高年層に多くなる人間特有の病、痛い・ツライ・出血する痔疾
 痔疾の主原因はは「うっ血」!
 二本足で立って生活している人間には、肛門部が心臓よリも低い位置にあります。そのために、肛門部|こ張り巡らされている静脈に圧力がかかりやす<、うっ血が生じてきやすいのです。
 更|こ便秘や妊娠、食生活など様々な要因が関連して色々な痔疾が生じてきます。
 
そして、この他にも、

・痔疾は血管にアレルギー反応を起こした場合、
・肝臓が炎症を起こした場合
・腹部臓器に炎症を起こした場合
・心臓の働きが鈍った婦合

などにも起こって<るように、その原因や誘因が沢山あリます。

●痔疾の患者は、肝臓病とともに増加
 今、改めてこの痔疾の患者数を「厚生省 患者調査」をもとに調べてみると、痔疾の患者は20歳代役半から増加し始め、高齢にこなるにつれてどんどん増加していることが良く分かります。

 しかも、下のグラフから見ると、痔疾は肝の疾患と共に増加しているのが一つの特徴として現れています。
この事実から、
痔疾は肝臓に炎症が起こりやすくなることや、肝臓の代謝機能が低下したりすることも、原因になつているようです。
その他、痔疾の様々な原因を知った上で根本的な治療法を考えてい<ことが大切なのです。

●痔疾はどんな病気
 痔疾は肛門周辺部位に起こる病気ですが、その原因には体内の様々な臓器が関連しています。
 これらの関連(構造)と痔疾の種類について説明しましょう。

○おしりの構造と血液の流れ



○あなたの痔はどんなタイプ?

1.痔核(いぼ痔) 2.脱肛(ぬけ痔)
  
3.裂肛(切れ痔) 4.肛門周囲膿瘍
5.痔痩(あな痔) 6.肛門ポリープ

●タイプ別痔疾の解説

 それでは痔疾のタイプごとに、詳し<見ていきましよう。

1.痔核(いぼ痔)


・痔の中で最も多い病気
・肛門静脈の血管の一部に血栓と呼ばれる血液の固まりができて血液がうま<流れず、静脈にうっ血が起こり、いぼのように腫れあがってくる。
・便秘時の長時間のいきみや、妊娠などが鬱血を招くようになる。
痔核は、できる場所によって内痔核、外痔核、中間痔核(歯状線のす<下にできたもの)に分けられる。
内痔核 外痔核
・歯状線よりも内側にできたもの
・痛みはな<、排便後に残便感や不快感あり
・主な病状は排便時の出血(走るように出たリ、ぼたぼたとたれたりする)
・痔核の脱出は脱肛へつながる
・歯状線よりも外側にできたもの 
・自覚的に肛門部の腫れ、ふくらみがあるのがわかる
・主な病状は痛みで、出血は少ない

2.脱肛(ぬけ痔)



・肛門の粘膜が脱出したリ、直腸の粘膜が脱出して、痔核が脱出したまま肛門内|こ戻らない状態。
痔核による脱肛 肛門固定組織の弛緩による脱肛
・壮年者に多い(痔核の項参照)
・排便に伴う痔核の脱出による不快感
・重症になると排便時以外にも脱出する
・痛みは痔核よりも激しい
・衰弱した老人・幼児・虚弱児に多い
・神経質の人にも起こりやすい


3.裂肛(切れ痔、裂け痔)


 
排便時硬い便・肛門を傷つける→痛い排便ガマン→便硬くなる
       ↑                           ↓
        ←   ←   ←   ←   ←  ←   ←

 
このような悪循環が痔疾を長引かせてしまうのです。


・硬い糞便にこすられたリ、浣腸などの刺激によって歯状線よリ下部の肛門の粘膜に切り傷が入ったもの。
・もともと便秘者が多い女性に多い痔疾。
     この場合、便秘改善薬の共用も考える必要がある。
・主な症状は排便時及び排便時の激しい痛み(重傷の場合は排便後にも長<痛みが続く)。
・出血は少ないことが多いが、大量の出血の場合は貧血にもつむがる。
・細菌感染による患部の悪化、肛門潰瘍にもつながる。

4..肛門周囲潰瘍


・大腸菌、その他の腸内細菌による肛門周囲組織の感染・化膿症。
・肛門の浅い部分にできると、肛門の周囲が腫れ上がり、夜眠れないほどの強い痛みと発熱が生じる。
急性の炎症
膿・痛み(圧痛‐獲痛)、熱感

進行(膿の貯溜)、発熱、悪寒、全身倦怠感

排膿、苦情、病状の緩解

痔瘻

この様に、
肛門周囲膿瘍は痔瘻と親子の関係にある。

5..痔瘻


・肛門周囲膿瘍が肛門の外側に腫れあがってきて自然に破れたリして、膿が排出した路(トンネル)ができる。
・膿が溜っていれぱ、痔瘻の出口から少量の膿が流出し続けることになる。臓が排出されれば腫れが弓くが、再び腫れてきて破れ、膿が出ることを繰り返す。
・膿が肛門周辺|こ出るとき痒みが生じる。→肛門掻痒症
・いつも不快感があリ、難治である。

6.肛門ポリープ


・痔核とは異なり、肛門小窩の繰り返す炎症により硬結したもの
・肛門部の不快感、異物感、排便時痛、出血、脱肛するようになる
・ポリープになると肛門の伸展が悪<なリ、排便の際にその隣や外側が縦長に裂けて、裂肛を起こす。更に大き<なると、ポリープと共に痔核が脱出し、症状が憎悪する。

●漢方薬での痔疾対策は

 戦国時代、馬に乗って戦いをする武士の多くは、肛門部の鬱血により痔を患って悩んでいました。
 そこで、江戸特代の漢方医、原南陽が考え出したのが、乙字湯という処方です。
 しかし、この乙字湯、野戦をしていた武士に合うような強いタイプの人向きの漢方薬でした。
 時が流れ、人の身体も変化する中で、明治時代の漢方医、浅田宗伯が初代の乙字湯を改良し、その時代に合った痔の薬方を考えました。
 それから更に月日は流れ、この漢方薬も現代人には強すぎる漢方薬となってしまいました。

  初代乙字湯
    柴胡 オウゴン 大黄 升麻 甘草 大棗 生姜

    ↓
    ↓
  ニ代目乙字湯

    柴胡 オウゴン 大黄 升麻 当帰 甘草



●現代人の痔疾に必要な漢方薬とは


 現代人の体力を考えると・・・
 1.オウゴンを取り除く:オウゴンは胃には良いが、ア卜二ー型の胃にはもたれさせる。
 2.大黄の量を減らす:現代人には腸ア卜ニー、下痢者が多いため、大黄量によっては苦情   が生じる。腸ア卜二-者のために黄柏、朮を加える。
 3.紅花・桃仁を加える:女性の痔疾者のために、血行に働くものを加える必要もある。
 4.甘草の量を増やす::現代人の体質を考える。


 体力の弱くなった虚弱夕イプの現代人に使うことを考えた痔疾の漢方薬は、下記のような12種類の生薬の総合的な働きを利用する必要があります。

○現代人の痔疾を改善する漢方薬の構成する生薬とその働き
柴胡 肝臓の炎症を除く
当帰・牡丹皮 門脈の鬱血を除く
紅花・桃仁 血行を盛んにする
ルチン 血管を強くし、止血に働く
黄柏・朮 腸の働きを整える
大黄 便の状態を整える
升麻 血管巨起こっている炎碇琶抑える
甘草・陳皮 アレルギー反応を抑制する
甘草 弱った心臓の働きを盛んにする

このように肛門に関連する部位|に働いて、肛門部の静脈の鬱血を改善していく漢方処方が現代人の痔疾改善には必要なのです。

(注意)
薬局製造医薬品として厚生労働省で認められている漢方処方の配合比や、構成生薬を変更することは、無許可医薬品製造に当たり、法律で厳しく罰せられます。上記の内容の漢方処方は、一般用医薬品として厚生労働省の許可を受け製造されている漢方処方です。