三砂堂漢方伝統医学研究室    
中医学と日本漢方の違い
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●中医学と日本漢方に対する私的評価
 日本漢方は、傷寒論の方証相対というのが基本になっていますので、中医学で「中医基礎理論」や「病因病機学」と呼ばれるような、病気の原因と発生の理論がありません。そのため、中医学のようなはっきりした病邪の概念がありません。従って、病気を全身的に、体質的にとらえがちになります。
 しかしながら、漢方医学の基礎になっている傷寒論は、元をただせば中国医学の理論がベースにあるわけです。漢方医学は、過去の治療経験を元に運用面での利便性を図ったものであると解釈出来ます。このおかげで、日本漢方へ入門したての初心者でも、手軽に漢方を運用することが出来ます。
 日本の漢方医学が古方派を中心に発展してきた背景には、処方が日本人向きであることも大切な要素です。日本漢方は、現在エキス剤中心で、漢方処方ごとに生薬の配分も決まっています。また、一つの漢方処方を構成する生薬の数も8種類程度と、中医処方と比べて少ないことも特徴です。さらに、漢方薬の量も、2分の1〜3分の1と少ないのです。
 これらは、まず、日本での水の違いによります。中国が硬水なのに対して、日本は軟水なので、生薬の溶解率が高いためです。また、日本は湿気が高いことと、中国のように食べ物を油通して食べないので、体質的に胃腸が弱いことなどが上げられます。
 近年、日本でも中医学を勉強し、中医処方を出す病院や薬局も増えてきました。しかし、個人的には、中医処方は漢方処方の構成生薬やその量の問題で、胃腸を損ねる事がありはしないかと心配です。胃腸はエネルギーの取り入れ口で、とても大切な臓器です。特に生きていく以外に闘病エネルギーも出さなければならない病人に取って胃腸機能の低下は、即自然治癒力の低下に繋がりますので、命取りになりかねません。
 中医学は、すばらしい医学理論体系を持った伝統医学ですので、今後は日本人の風土や体質に合った形で普及していくことが望まれます。