橋本敬三医師

ひざが痛い!腰が痛い!肩が痛い! あなたのお身体は大丈夫ですか?
三砂堂漢方併設の鍼灸院でも、一番多い相談「痛み」です。
急性の痛みには、警告信号としての役割があります。身体が危険に冒されたとき、痛みがあるからこそ危険を察知し、危険から逃れることができるのです。
ただし、警告信号としての役割があるのは、急性の痛みだけであり、慢性の痛みにはその役割はありません。むしろ行動が制限されたり、精神的にも不安になるので、生活の質が大きく低下してしまいます。
慢性の痛みに今注目されているのが東洋医学で、現在では医療機関でも、漢方薬や鍼灸治療がさかんに行われています。
しかし、患者様自身で行う養生も早期の回復にはとても大切です。
当院で痛みの養生法としてお薦めしているのが、仙台の医師 故橋本敬三先生が考案された操体法です。
YouTubeなどでご覧になると、操体法にも色々なバリエーションがあって、施術者が患者様に介助しながら操体を行う方法が多いものです。
私どもでは、患者様ご自身がラジオ体操のように、ご自身でお気軽に簡単にできる、「立って行う操体法」を指導しています。
体操のような操体のやり方をご紹介しますので、是非日々の生活習慣の中に取り入れて下さいね。

操体法の基本的な考え方

操体と橋本敬三先生
操体法(そうたいほう)は、仙台の医師 橋本敬三先生が鍼灸などの東洋医学や、民間に伝わる整体などの様々な物理療法を研究した結果、得られた運動療法であり、養生方法です。
橋本敬三先生の考え方は、この世に生を受けた以上、健康に暮らせる能力を持っているということです。
健康であることも、病気であることも、本人の生活次第であると考えていますので、たとえ病気になっても、生活の改善、つまり養生次第で健康に戻ることができるのです。
人間は動く動物
橋本先生は、「人間は動く動物である」と言っています。図のような三角屋根の単純な家を想像して見て下さい。棟木を背骨と考えて前後に頭としっぽを付けると、四つ足歩行の動物になります。さらに後ろ足で立ち上がって動き回る建物が人間なのです。
ですから、身体の構造に歪みがあっては健康は全うされませんし、動き方に支障があっても病気になってしまうのです。
同時相関連動性
私たちの身体を建物の構造と想像できるなら、1カ所が動けば他の箇所も全て動かなければならないので、これを橋本先生は「同時相関連動性」と呼んでいます。この同時相関連動性は、筋肉や骨の動きだけでなく、自律神経系、内分泌系、内臓の働きなど生体内部での働き全てにも、影響を及ぼします。
不快な感覚とは
私たちが感じ取ることのできる、腰の痛み、膝の痛みなど不快な感覚は、骨格(骨と筋肉)のひずみによって生じています。
骨格に歪みが生じると、皮下組織や筋肉内での内圧に変化が生じます。これらの変化は、痛みや圧力を感じ取る体性神経を通じて中枢神経に伝えられ、不快と自覚すると共に、自律神経系を介して、内臓の働きに変化を生じさせたり、血管を拡張・収縮させて、組織の血流を変化させるなど身体に対して様々な反応を与えます。そして、これらの働きを体性-自律神経反射と呼んでいます。
骨格の歪みは、不快な不定愁訴を起こし、が体性-自律神経反射を介して、身体の中の働きに病的な変化を引き起こします。
ですから、橋本敬三先生は病気発生の第一段階が、骨格のひずみであると考え、そのひずみが生じたと同時に「不快」な異常感覚が発生するといっています。
機能障害から器質障害へ
このように、骨格の歪みが生じると、人間の持つ原始感覚によって不快な感覚を自覚し、生体内の機能に、様々な変調が生じるます。最初は一時的な機能の失調であっっても、放置すると慢性化し、さらには構造的な変化へ移って行きます。この時期になると、器質障害として現代医学で病名診断されるようになります。
骨格の歪みと経絡現象
鍼灸などの東洋医学の世界では、骨格の歪みを経絡現象と捉えて、東洋医学独自の理論に従って治療を施し、骨格の歪みを矯正しているのです。この骨格の歪みを、身体の動きによって元に戻す運動療法が、橋本敬三先生の操体法です。
私たちの身体の動きは、関節を基準に考えると、前後屈伸、左右屈伸、左右捻転、収縮伸展の四種類しかありません。この動きを取り入れた操体の基本運動が6種類あります。
操体の基本運動は、前後・左右など対称な一対の動きとなっています。健康な時などちらの向きの動きにも動かしにくさはないのですが、ひずみが生じると動かしにくくなるので、動かしやすい方向に身体を逃がすように動作します。これが、操体法の特徴で、無理してストレッチを行うような一般的な体操と違うところです。

それでは、橋本敬三先生の操体法の実際をご紹介しましょう。

以下の目次にあります項目をクリックしますと、各項目に移動します。

1.立って行う操体法 その1操体法の基本となる立ち方

これは、立って行う操体法の一例です。簡単ですので、ご家庭や仕事場などで、一息付きたいときに是非やって見て下さい。1日1回~2回、15分程度で結構です。

操体法の基本となる立ち方です。足は腰の幅に開き、つま先を左右平行にします。膝・腰・背中はゆったりと伸ばしながらたてます。眼は正面の一点を見つめて下さい。

2.立って行う操体法 その2「両手の水平上げ」

これは、橋本敬三先生が考案された、立って行う操体法の一例です。

簡単ですので、ご家庭や仕事場などで、一息付きたいときに是非やって見て下さい。1日1回~2回、15分程度で結構です。

両手水平上げの操体法ですが、①の自然体の姿勢から、両手を水平に上げて、左右のバランスを取ります。
ゆっくりと力まずに、静かに、両手を水平に上げて下さい。
バランスが取れたら、一息すって、1,2,3と数えてから、一気にバサッと脱力しながら、手を下ろします。
ここで、左腕が重いと感じたら、腰をやや左に寄せると自然に左腕が上がり、バランスが取れます。右腕が重たければその逆を行います。

3.立って行う操体法 その3「足踏みの操体法」

 これは、立って行う操体法の一例です。簡単ですので、ご家庭や仕事場などで、一息付きたいときに是非やって見て下さい。1日1回~2回、15分程度で結構です。

足踏みの操体法は、まず、足の裏全体で地面を踏みしめながら、全身のバランスを取ります。
太ももとつま先が水平になるくらいに足を引き上げた後、足の裏全体が床に接地するように、
まず足踏み運動を行います。左右に大きく手を振りながら、膝は90°位になるまで高くあげます。

手足の動きで、軽く感じる側は少し強めに上げ、重く感じる側は少し強めに下げるようにして、20~50回くらいリズミカルに足踏みを続けます。

4.立って行う操体法 その4「前後の屈伸」

これは、橋本敬三先生が考案された、立って行う操体法の一例です。

簡単ですので、ご家庭や仕事場などで、一息付きたいときに是非やって見て下さい。1日1回~2回、15分程度で結構です。
後ろと前を伸ばして、全身のバランスを取る操体法です。
後ろ伸ばし 操体法
操体法の基本となる自然体で立った状態から、膝を軽く伸ばし、腰を少し後ろに引いて、重心が少し踵よりになるようにします。
その状態で、頭・肩・腕をだらりと前に下げます。
無理せずに、自然に曲がるところまでで止めて、一息入れて下さい。

次に、前屈姿勢から、自然体(操体の基本となる立ち方)に戻す動作を行います。
膝を軽く曲げ、腰を少し前に寄せて、つま先に力を入れます。
目線(顔)から上を見上げるように起こし始め、その後身体全体をが起こしていきます。

操体法の基本となる立ち方です。足は腰の幅に開き、つま先を左右平行にします。膝・腰・背中はゆったりと伸ばしながらたてます。眼は正面の一点を見つめて下さい。
前伸ばし 操体法
膝を軽く伸ばし、腰を少し前に出して、重心の位置をつま先より少し前にして立ちます。
次に、目線を少し上に向け、膝・腹・胸・のどを軽く伸ばしていきます。
無理をせず、前側が自然に伸びるところで止めて、一呼吸入れます。


戻す際は、まず膝の力を抜いてから、目線から操体の基本となる姿勢「自然体」に戻します。

後ろ伸ばしと前伸ばしを比べてみて、心地よい方の動きを3~5回繰り返します。

5.立って行う操体法 その5「左右の屈伸操体法」

これは、橋本敬三先生が考案した、立って行う操体法の一例です。
簡単ですので、ご家庭や仕事場などで、一息付きたいときに是非やって見て下さい。1日1回~2回、15分程度で結構です。
左側と右側を伸ばして、全身のバランスをとる操体法です。
左側を伸ばす操体法
 まず、左手で頭上の物をとるような感じで、左腕を伸ばします。
右手で腰を押さえて、やや腰が左側に移動させて、左足の親指と土踏まずを踏みしめます。
右足のかかとは、やや浮き気味になります。

止まったところで、一呼吸して、脱力しながら操体の基本となる「自然体」の姿勢に戻します。
右側を伸ばす操体法

まず、右手で頭上の物をとるような感じで、右腕を伸ばします。
左手で腰を押さえて、やや腰が右側に移動させて、右足の親指と土踏まずを踏みしめます。
右足のかかとは、やや浮き気味になります。

止まったところで、一呼吸して、脱力しながら操体の基本となる「自然体」の姿勢に戻します。

左右で快い方の動きを3~5回繰り返します。

6.立って行う操体法 その6「左右のねじり操体法」

これは、橋本敬三先生が考案した、立って行う操体法の一例です。
簡単ですので、ご家庭や仕事場などで、一息付きたいときに是非やって見て下さい。1日1回~2回、15分程度で結構です。
左右にねじって、全身のバランスをとる操体法です。

① 左へねじる操体法

 腰をやや前よりにして、背骨の芯が少しねじ上がるような感じで、目線から振り向いて左へ身体をねじります。
左足の親指と土踏まずを踏みしめるので、右足のかかとはやや浮き気味になります。
身体のねじれ動作が止まったところで、一呼吸付いて、ふっと息を吐きながら脱力して、「自然体」の姿勢に戻します。
右へねじる操体法
 腰をやや前よりにして、背骨の芯が少しねじ上がるような感じで、目線から振り向いて右へ身体をねじります。
右足の親指と土踏まずを踏みしめるので、左足のかかとはやや浮き気味になります。
身体のねじれ動作が止まったところで、一呼吸付いて、ふっと息を吐きながら脱力して、「自然体」の姿勢に戻します。

7.立って行う操体法 その7「背伸び操体法」

これは、橋本敬三先生が考案した、立って行う操体法の一例です。
簡単ですので、ご家庭や仕事場などで、一息付きたいときに是非やって見て下さい。1日1回~2回、15分程度で結構です。 つま先立ちで背伸びをしながら、全身のバランスをとる操体法です。つま先は地中に根を下ろすように、そして両手の指先は天に向かって伸び上がるように、両手を上げます。
ぐらつかないように3~5秒間この姿勢を保ち、バサッと脱力します。

「立って行う操体法」如何でしたでしょうか?
私たちの身体に生じる様々な不定愁訴、つまり不快な症状は、身体の不調を表す注意信号です。これらの症状が現れている時は、身体の骨格にひずみが生じており、また同時に身体の調節メカニズムにも不調が起っています。操体法で、不快が快に変化するように動いて、身体のひずみを取り除いてあげることで、不定愁訴も、身体の失調も、改善していきます。
簡単に身体を楽な方向に動かしてあげるだけで、身体が良くなる操体法、あなたも是非お試しください。

このページは、私の漢方の師でもある奈良漢方治療研究所 北村翰男(きたむらふみお)先生から学んだ操体法の内容を、ご紹介しております。

「奈良操体の会」
http://nara-soutai.net/