美容鍼灸のエビデンスと今後の展望

第71回全日本鍼灸学会学術大会 東京大会「美容鍼灸のエビデンスと今後の展望」

きたる2022年6月3日~6月5日に、東京有明医療大学・有明ガーデンコンファレンスセンターにて、「第71回全日本鍼灸学会学術大会 東京大会」が開催されます。そのなかで、学会最終日の6月5日に、美容鍼灸のサテライトセッションが催される運びとなりました。
本サテライトセッションでは、「美容鍼灸のエビデンスと今後の展望」をテーマに、顔面頭部の解剖学講義、美容鍼灸の効果とリスク管理、ランチョンセミナー、美容鍼灸の効果機序に関するシンポジウムを予定しています。
各所で行われている美容鍼の研究成果を学ぶ場として、また今注目されている美容鍼技術を知ることのできるまたとない貴重な機会です。皆さま、奮ってご参加ください。

開催概要
日時
2022年6月5日(日)10時00分~16時00分
場所
現地会場:有明ガーデンコンファレンスセンター 第5会場
オンライン:オンデマンド配信
共催
第71回(公社)全日本鍼灸学会学術大会 東京大会

14:30~16:00 シンポジウム
司会:粕谷 大智先生、高野 道代先生
「ここまで分かった美容鍼灸の効果と効果機序」
1.局所:顔面の組織に及ぼす影響
東京有明医療大学鍼灸学科 山崎 さつき先生
2.局所:顔面の形態(たるみ)に及ぼす影響
三砂漢方堂 三砂 雅則

3.中枢:脳の機能に及ぼす影響
明治国際医療大学 山崎 翼先生

抄録

シンポジウム「ここまで分かった美容鍼灸の効果と効果機序」
2.局所:顔面の形態(たるみ)に及ぼす影響
株式会社三砂堂漢方 三砂堂漢方鍼灸院 三砂 雅則
医学の世界では、皮膚細胞生物学の発展により、シミやシワの皮膚加齢制御の方法が語られるようになり、皮膚科医も治療のみでなく審美も守備範囲となって来ている。香粧品の世界でも、皮膚生理機能に影響を与える機能性化粧品が登場し、医療と化粧の境界が明確ではなくなっている。皮膚科学では光老化という現象が、美容的な皮膚加齢現象に深く関わっていることが判明したことによって、医学の世界では美容に対する関心は一気に高まった。このような背景の中、鍼灸の世界でも美容鍼灸に対するニーズの高まりを見せている。美容鍼灸はこれまで受療者の主観的満足感や各種メディアでの話題先行により普及してきたが、今後は鍼灸刺激の審美に対する有効性を科学的に検証する必要がある。

加齢老化や光老化によって、顔面部にシワ、タルミ、シミなど老化現象が現れるが、シミについてはその多くが肝斑である。顔面部の小ジワは、乳頭層に垂直に存在する結合組織の変性が原因とされ、大シワやタルミは真皮網状層の結合線維や弾力線維の変性による機能低下が原因とされているが、ボトックスの皮下投与でシワが改善することなどから、表情筋など抗重力筋などの関与が指摘されている。

これら顔面部皮膚の老化現象に対して、鍼刺激、灸刺激が顔面部の審美及ぼす影響について文献の調査を行いその有効性について検討した。検索サイトには医中誌ならびにPubMedを使用し、検索キーワードは「美容 鍼灸(2022-2010年)」とした。検索の結果、条件に適合した文献は和論文10件、英論文0件であった。講演では、客観的評価を中心に、従来香粧品分野で行われきた評価方法、鍼灸分野独自の顔面形状評価方法、血流や筋肉の形状など皮下組織での変化の評価方法など指標ごとに分類しこれまでの研究成果を紹介すると共に、筆者が行っている顔面の形態(たるみ)を測定する方法について、現状と今後の研究の方向性を検討して見たい。

略歴

三砂 雅則(みすな まさのり)
現職 株式会社三砂堂漢方 代表取締役

1983年 東京理科大学 卒業
2001年 明治東洋医学院専門学校 卒業
2018年 明治国際医療大学大学院 修士課程 卒業
2018年 認定NPO法人 健康医療評価研究機構iHope International eMAP修了
業績
三砂雅則,山崎翼,佐藤万代他.皮膚タルミ新規測定法の開発-美容鍼灸介入試験の評価方法として-.日本未病システム学会雑誌.2019;25(1):32-43.
相馬弘年,三砂雅則他.CF₄レーザーの高効率化の研究.レーザー科学研究 (5) 175178 (0092.jp2).