健康雑誌 ビワと健康 2005年3月号 全身の痛みをビワで取る
風邪をひいたのがきっかけで全身に痛みが出て、大学病院に掛かったものの治療効果が得られず、困り果てて当院を訪れた男性(67)がおられます。
この方は、5、6年前から糖尿病を患い内服薬による治療を続けておられましたが血糖はコントロールされており、糖尿病からの痛み、しびれなどの自覚症状はありませんでした。
しかし、その痛みたるや半端でなく右肩、両肘、両膝の関節、大腿部外側、さらに十指全部が痛んで握力が出せない、歩行時にはふくらはぎや足底、足の甲が左右とも痛む・・・等々まさに全身に及ぶ症状で、当人の疼痛表現は『腫れて爆発するような痛み』というものでした。
併せて全身にむくみが見られ、手の甲や膝下の外側に湿疹が出ていました。
また、食欲もなくお粥しか食べられないなど深刻な状況だったのです。
大学病院では、胃カメラを飲んだり慢性リウマチの検査をうけたりしたそうですが血糖値以外は何も異常が認められず、鎮痛剤が処方されたのみ。
結局、鎮痛剤では痛みが収まらず西洋医学では難しいと感じて当院を訪ねたとのことでした。
初回来院時、すでに2ヶ月ほど経過していましたが、歩くのも座るのもやっとの状態でとりわけ同じ姿勢を続けると痛みが増すため治療の際は体とベッドの間にタオルを挟み込むなど工夫を要しました。
東洋医学に診断すると、外風(がいふう)すなわち外から風邪(ふうじゃ)が入ったことで熱や湿を一緒に呼び込み痛みを引き起こしている状態でした。
この方の場合、もともと体質的に腎虚が甚だしく、水の調節が上手くいかないために、体内に湿が沢山溜まっていました。そこへ外から風・湿・熱の邪気が進入したために強い痛みが生じていましたので、去風清熱利湿(きょふうせいねつりしつ)という治療を施しました。
この方のように外風で痛みが出るケースはよくあります。
早期に治療すれば治りも速いのですが、もともと腎が弱く湿をため込みやすい方だったため正気が邪気を追い出せず、体内に居座ってまるで体質のようになってしまっていたわけで、こうなると治るには相応の時間が掛かります。
西洋医学にはこういう診断法はありません。お手上げです。そこで安易に鎮痛剤を続け、却って胃腸を弱らせエネルギーが吸収できなくなって痛みが増すことに繋がるのです。
私は治療法としてビワ温圧、鍼、漢方薬を用いて、まずは表面を中心に風湿を取り除きました。
治療は週2回としました。この方は真面目に通われ、食事も改善するなど努力されたこともあって1ヶ月ほどで痛みは半減し、その後も行きつ戻りつしながらも一艇の調子で症状は改善に向かい、7ヶ月間で殆どの症状がなくなり治療を終えました。
ちなみにビワ温圧での取穴は、全体の水の調節機能を上げることを目的に「肺兪」「脾兪」「腎兪」「三陰交」、補腎を目的に「太谿」「関元」「命門」、水抜きを目的に「湧泉」「水分」「陰陵泉」「豊隆」等を用いました。
参考にしてください。
◎三砂堂漢方鍼灸院 (ご紹介はこちらです。)
大阪府堺市丈六173-6
電話:0722-35-8282
(上記の文章、写真及び図表は、ビワの葉温熱療法普及会が発行している情報紙『ビワと健康』に掲載された記事を、転載しています。 )
本内容は、大阪府堺市 三砂堂漢方 三砂雅則が紹介しました。