風邪の漢方薬

体力低下、胃腸の弱い現代人の風邪(かぜ)対策

風邪(かぜ)は誰でもかかるありふれた病気、一年に数回はかかるといわれますが、一ロに風邪(かぜ)といっても原因は色々、そして症状もまた様々です。
しかし、風邪は必ずしも誰もが平均的に引くものではなく、体力が低下し、抵抗力が落ちた時に患うものです。
そして、種々のストレス、食生活の乱れ等によって胃腸機能障害を起こす人が最近、特に増えています。

風邪の型と病原微生物の関係

風邪は自然に治ることも多いものですが、養生や適切な処置を怠ると、こじらせて肺炎や中耳炎、副鼻腔炎等の合併症を引き起こすこともよくあります。
「風邪は万病のもと」とよく昔から言われます。
たかが風邪と安易に考えず、日頃から風邪を引かないような体力をつけること、又風邪を引けば早めの治病対策が必要です。

どんな病気?風邪?

誰もが一年に数回はかかる風邪。しかし、一口に風邪といっても、その原因を考えると様々です。
そこで、この風邪がどのような病気であるのかについてお話ししましよう。

1.風邪の原因は

病原微生物が感染を起こす感染性因子と、それ以外の非感染性因子に分けることが出来ます。

【感染性因子】
A. ウイルス
感染性因子の中で頻度が最も高く、風邪疾患の80~90%を占めます。
ウィルスの中で風邪を引き起こすものには9種類のウイルスが知られています。
インフルエンザウィルス、パラインフルエンザウイルス、RSウィルス、
アデノウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウィルス、エコーウイルス
コロナウィルス、レオウイルス

B ウイルス以外の病原微生物
マイコプラズマ、クラミジア、細菌(連鎖球菌等)
風邪の原因となるウイルス以外の病原微生物
【非感染性因子】
寒さやアレルギーがあります。しかし風邪疾患全体では、その原因となるものは数%以下にすぎません。

2.風邪の症状は

代表的症状は、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、のどの痛み、声がれ、せき、たんなどの呼吸器の症状や発熱、頭痛、
腰痛、全身のだるさなどの全身症状があります。
感染した病原微生物の種類や、身体のどの部分が強く侵されたかによって、以下のようないろいろな病型になり
ます。
風邪の病気の型と症状

3.風邪の感染経路は

〇病原微生物の感染経路
・飛沫感染…<しゃみ、咳などで飛び散る鼻水、たんなどの小さな粒子のなかに病原微生物が含まれて、外界に飛散します。この飛散した小粒子を吸いこんで感染します。
・接触感染…鼻みずをふいたりした時に、ウイルスが手指に付着します。その手でドアの取っ手等に触れるとウイルスが付いて、それを他の人が触れることによって拡散していきます。
・その他…プール熱のようにプールの中にウイルスをまき散らされることで、感染することもあります。

現代医学での風邪対策

風邪のほとんどは、病原微生物による感染が原因ですから、病原微生物を殺す薬剤が風邪対策の主流になるはずです。
しかし、風邪の原因の80~90%を占めるウィルスを殺す抗ウィルス剤はまだありません。
その為、発熱、咳、<しゃみ、鼻水、頭痛等の風邪の諸症状を抑える対症廉法が今の中心治擦となっています。
この対症療法について詳しくお話しましよう。

対症療法

まず、風邪の治療に現在使われている、代表的な薬剤について紹介しましよう。

A 一般用医薬品による風邪治療

風邪の治療に用いられる代表的薬剤とその副作用

B 医療用医薬品による風邪治療

風邪症状緩和のための薬剤+抗生物質と、その副作用

これらの薬物では、風邪の諸症状の緩和作用は期待できます。
しかし一方で、副作用の問題を考慮しなければなりません。
また、人間が本来持つ自然治癒力(風邪に対する抵抗力)を湧かす働きをあまり考えた方法ではない様です。

漢方薬での現代人向け風邪対策は

風邪の漢方薬治療では、風邪のつらい症状を抑えることのみを目的とするのではなく、人間のもつ病気と闘う力、自然治癒力を湧かせて、身体の歪みを元に戻して風邪に抵抗できる体力をつけることに重点を置いた漢方薬を使います。
そこで、漢方薬治療法と現代医学の違い、そして風邪の代表的な漢方薬についてお話しを進めましよう。

1.風邪の漢方薬治療と現代医学の違い

風邪の漢方薬治療と現代医学の治療法それぞれの効果について比較してみると
風邪における漢方治療と現代医学治療の比較

2.風邪治療に使用される代表的な漢方薬

現代人の風邪を考えると漢方薬治療法が優れているようです。
しかし、漢方薬治療法で使用される、風邪治療の代表的な漢方薬を考えると、さてとうなのでしょうか?

風邪治療に用いられる代表的な漢方薬とその働き・副作用

今、胃腸の弱い、虚弱な現代人び増えていること、そして風邪に使用する代表的な漢方薬の働きを考えると、安易に漢方薬治療法が優れているとは言えません。
現代医学の利点と漢方薬治療法の利点を組み合わせて、現代人に合った漢方薬が現代人向けの風邪薬に求められているのです。

現代人の体質に合った風邪の漢方薬

昔の人と比ぺると、現代人は比較的体力がなく、胃腸も弱い。
こんな現代人の風邪対策には、これらの体質を考慮した漢方薬が必要になってきます。
以下に、現代人に合った風邪の漢方薬と、咳を主にした漢方薬の処方例をご紹介します。

1.初期からこじれた風邪にまで幅広く使える風邪の漢方薬処方例

現代人の風邪対策の漢方処方例

2.咳の症状が中心の風邪の漢方薬処方例

咳中心の風邪対策に用いる漢方処方例

現代人向け風邪の漢方処薬の臨床例

この現代人向け風邪の漢方薬使用例はホノミ漢方会会員の先生方からお寄せ頂いた実例を対象にまとめたものです。
本使用例の実態から現代人向け風邪の漢方薬の効果を分析してみましょう。

現代人向け風邪の漢方薬服用者の年齢層と男女の比率

年齢層では、各年代に現代人向け風邪の漢方薬服用者がいることから、この漢方薬は各年代に幅広<利用できる風邪薬と言えるでしょう。
また、30歳代、40歳代にこの漢方薬の服用者が多<、男女比でみると女性が圧倒的に多いことから、家事や子育てで休むに休めないお母さん方に風邪体質漢方薬のファンが多いと見ることもできそうです。
仕事を休めないのはお父さんも同じこと、お父さんにも風邪体質漢方薬の活用が必要かもしれません。

現代人向け風邪の漢方薬の服用期間

現代人向け風邪の漢方薬の服用期間は1日の服用45%、2~3日の服用40%で3日以内の服用が85%を占めています。
又、風邪体質漢方薬単独が45%を占めますが、一方で他の漢方処方を並用される方も多いのです。
これらのことから、現代人向け風邪の漢方薬の服用は3日を目安に、風邪の漢方薬単独でも効果は期待できますが、病人の体質・病状に応じて随証薬を並用することでこの漢方薬の効果を高めることが期待できます。
特に、胃腸機能を高めると良いようです。
風邪対策漢方薬と服用期間

(注意)薬局製造医薬品として厚生労働省で認められている漢方処方の配合比や、構成生薬を変更することは、無許可医薬品製造に当たり、法律で厳しく罰せられます。上記の内容の漢方処方は、一般用医薬品として厚生労働省の許可を受け製造されている漢方処方です。

最後まで、ご覧下さいましてありがとうございました。
本内容は、大阪府堺市 三砂堂漢方 三砂雅則が解説いしました。