ジャコウ製剤の冷え性改善作用

19.抗肥満漢方薬 その1で、「香りの世界をさぐる」の著者が、初冬の冷え切った研究室でジャコウ服用後に、身体の温まりや心臓の鼓動の高まりを体験した話をしました。
ジャコウ製剤には、抗肥満漢方薬 その2その3でお話ししました肥満改善や高脂血症の改善だけでなく、末梢の血行を改善したり、体温そのものを上昇させて、冷え性を改善させる働きがあることも、研究で明らかになっています。

末梢組織の血流量増加に伴う皮膚温の上昇

実験動物ウイスターラットを使って、左耳介と左足裏側に血流計を取り付け、右耳介と右足裏には皮膚表面温度を測定するための温度計を取り付けて、ジャコウ製剤服用による冷え性改善の実験を行いました。
その結果、耳介、足の裏、直腸で、血流量の増加が認められ、併せて耳介と足の裏の皮膚温の上昇も見られました。

Fig1.はジャコウ製剤300mg/Kg、1000mg/Kg、そしてジャコウ単味を服用させた時の、耳介及び足裏の血流量の増加を示しています。
ジャコウ製剤の血流改善作用の実験結果
Fig3.は、同じく耳介及び足裏の表面温度と、体温(直腸温)の上昇を示しています。

ジャコウ製剤服用による皮膚温上昇の研究

皮膚表面の温度は、身体での熱産生、周囲の環境温、運動、血圧などによって決まりますが、ジャコウ製剤を服用することで、末梢組織の血流が改善されて、皮膚表面の温度が上昇することが分かりました。

体内の熱産生の増加による体温上昇

更に、上記の実験を行う際に、直腸にも血流計と温度計を設置することで、ジャコウ製剤服用により、体内の熱産生自体が増加して、体温そのものが上昇するかも、実験しました。その結果、直腸で、血流量の増加も認められ、それと共に体温(直腸温)の上昇(Fig3.のC))も見られました。

褐色脂肪組織活性化による抗肥満、抗高脂血症、体温上昇

食べ過ぎによる過剰なエネルギー摂取は、脂肪に作り替えられて白色脂肪組織に貯蔵され、それが肥満、脂質代謝異常、高脂血症の原因となります。ジャコウ製剤服用による褐色脂肪組織の活性化は蓄積した脂肪を燃焼して熱産生を促進し、更には皮膚組織の血流増大により体外に放出することができます。
Fig5.は、ジャコウ製剤1000mg/Kgを与えた時、体温上昇に比べて褐色脂肪組織の温度上昇が顕著であることを示しています。これは、ジャコウ製剤服用で褐色脂肪組織が活性化し、蓄積した脂肪を燃焼して熱産生を促進していることを示すものです。
ジャコウ製剤の褐色脂肪組織活性化の研究
これら一連の作用により、エネルギー平衡の異常によって生じた肥満や高脂血症、更には冷え性も改善すると期待されています。