ジャコウ製剤の自律神経失調症に対する効果

ジャコウ製剤を扱っていますと、肥満、高脂血症、冷え性以外にも、精神的なストレスから来る自律神経失調症状に対しても、効果があることを良く経験します。
最後に、ジャコウ製剤の自律神経失調症に対する効果についてご紹介しましょう。

1.ストレスが原因での痛みに対する作用

実験用のマウスに、午前9時から午後4時までは1時間ごとに24℃と4℃に切り替えて飼育し、午後4時から翌日の午前9時までの間は4℃で飼育するという、強い寒冷反復刺激をストレスして負荷をかけた、ストレスマウスを育てます。
マウスに与える痛みの刺激は、尾っぽに加える圧力(重さgで表示)とします。マウスのしっぽに徐々に圧力を加えて行き、初めてマウスが逃げ出した時の圧力を痛覚閾値(痛みを感じる最小の刺激)として測定します。
実験の結果は、下の図のようになりました。
ジャコウ製剤の痛み改善効果
b)のグラフを見ますと、ジャコウ製剤を飲んでいない対照群のマウス〇は、ストレス負荷の前後で痛覚閾値が有意に低下(ストレス負荷によってより少ない刺激で痛みを感じるようになること)してました。
一方、ジャコウ製剤を100mg/Kg/day◆及び300mg/Kg/day▲で8日間与えたマウスでは、痛覚閾値の有意な低下抑制が見られました。つまり、ストレスによって痛みに対して過敏になっていた体質が改善されました。

ヒトの中脳灰白質という場所には、「下行性痛覚抑制系」と言って痛覚閾値、つまり痛みの感じ方を調節している部分があります。
鍼灸治療や漢方薬の鎮痛作用の一つは、この下行性痛覚抑制系を介した鎮痛作用であることが分かっています。

2.ストレスによる性機能低下の改善作用

近年、薬物の滋養強壮作用を調べる方法が開発されています。
この測定方法は、実験用の雄のマウスを慢性的に宙吊りにするストレス負荷をかけ、性行動を低下させます。このマウスに薬物を与えて効果を調べるのです。

ジャコウ製剤についても、滋養強壮作用を調べる方法を用いて、ストレスによる性機能低下の改善作用を調べました。
まず別のゲージで女性ホルモンを投与して発情させた雌マウス10匹を用意します。一方、宙吊りにするストレス負荷をかけ単独で飼育した雄のストレスマウスと、正常な環境で単独で育てた雄のマウスを用意します。それぞれの雄マウスを、それぞれ先の方法で発情させた雌マウス10匹の入ったゲージに1日10分間入れ、性行動(Licking:なめる、Mounting:のりかかる、Intromission:挿入する)を示した雄マウスの数、1匹当たりの性行動の回数、性行動を起こすまでの時間を各々記録し、ジャコウ製剤の効果を検討しました。
その結果を下図に示しています。
ストレスによる性行動低下を改善するジャコウ製剤

グラフの●は、ストレスをかけていない通常雄マウスです。〇がストレスのかかった雄マウスです。そして■がストレスのかかったマウスにジャコウ製剤を服用させた雄マウスです。図に示すように通常のマウスに比べてストレスのかかったマウスは、全ての性行動について低下が見られます。ところが、ジャコウ製剤を服用させたマウスでは、Licking、Mounting、Intromissionの全ての性行動の有意な回復が見られました。また、性行動の開始時間も有意に回復しました。図には示しておりませんが、同時に測定した直腸温度や副腎重量についても、有意に回復が見られました。

ストレスがかかりますと、直腸温度の低下、副腎重量の増加、脳下垂体のチロシン水酸化活性が増加するすることから、ストレスは脳下垂体に影響しその結果として、性行動や学習能力が低下することが、報告されています。ジャコウ製剤は脳下垂体など中枢神経に働いて、性行動が改善していることが考えられています。