● 操体法とは

 操体法(そうたいほう)は、仙台の医師 橋本敬三先生が鍼灸などの東洋医学や、民間に伝わる整体などの様々な物理療法を研究した結果、得られた運動療法であますが、養生方法で本質を的確に捉えており、がんの養生方法にも応用できる考え方です。

橋本敬三先生の考え方は、この世に生を受けた以上、健康に暮らせる能力を持っているということです。
健康であることも、病気であることも、本人の生活次第であると考えていてますので、たとえ病気になっても、生活の改善、つまり養生次第で健康に戻ることができるのです。

橋本先生は、「人間は動く動物である」と言っています。図のような三角屋根の単純な家を想像して見て下さい。棟木を背骨と考えて前後に頭としっぽを付けると、四つ足歩行の動物になります。さらに後ろ足で立ち上がって動き回る建物が人間なのです。
ですから、身体の構造に歪みがあっては健康は全うされませんし、動き方に支障があっても病気になってしまうのです。

私たちの身体を建物の構造と想像できるなら、1カ所が動けば他の箇所も全て動かなければならないので、これを橋本先生は「同時相関連動性」と呼んでいます。この同時相関連動性は、筋肉や骨の動きだけでなく、自律神経系、内分泌系、内臓の働きなど生体内部での働き全てにも、影響を及ぼします。

私たちが感じ取ることのできる、腰の痛み、膝の痛みなど不快な感覚は、骨格(骨と筋肉)のひずみによって生じています。
骨格に歪みが生じると、皮下組織や筋肉内での内圧に変化が生じます。これらの変化は、痛みや圧力を感じ取る体性神経を通じて中枢神経に伝えられ、不快と自覚すると共に、自律神経系を介して、内臓の働きに変化を生じさせたり、血管を拡張・収縮させて、組織の血流を変化させるなど身体に対して様々な反応を与えます。そして、これらの働きを体性-自律神経反射と呼んでいます。

骨格の歪みは、不快な不定愁訴を起こし、が体性-自律神経反射を介して、身体の中の働きに病的な変化を引き起こします。
ですから、橋本敬三先生は病気発生の第一段階が、骨格のひずみであると考え、そのひずみが生じたと同時に「不快」な異常感覚が発生するといっています。
このように、骨格の歪みが生じると、人間の持つ原始感覚によって不快な感覚を自覚し、生体内の機能に、様々な変調が生じるます。最初は一時的な機能の失調であっっても、放置すると慢性化し、さらには構造的な変化へ移って行きます。この時期になると、器質障害として現代医学で病名診断されるようになります。

鍼灸などの東洋医学の世界では、骨格の歪みを経絡現象と捉えて、東洋医学独自の理論に従って治療を施し、骨格の歪みを矯正しているのです。この骨格の歪みを、身体の動きによって元に戻す運動療法が、橋本敬三先生の操体法です。
私たちの身体の動きは、関節を基準に考えると、前後屈伸、左右屈伸、左右捻転、収縮伸展の四種類しかありません。この動きを取り入れた操体の基本運動が6種類あります。
操体の基本運動は、前後・左右など対称な一対の動きとなっています。健康な時などちらの向きの動きにも動かしにくさはないのですが、ひずみが生じると動かしにくくなるので、動かしやすい方向に身体を逃がすように動作します。これが、操体法の特徴で、無理してストレッチを行うような一般的な体操と違うところです。

それでは、橋本敬三先生の操体法の実際を、以下にご紹介しましょう。

2.立って行う操体法 その1
3.立って行う操体法 その2
4.立って行う操体法 その3
5.立って行う操体法 その4
6.立って行う操体法 その5
7.立って行う操体法 その6
8.立って行う操体法 その7

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